こんにちは、足立区のホスピスケアです。
私たちは、ホスピスでの時間が穏やかで、あたたかいものになるように、さまざまな取り組みを考えています。
そのひとつが、「絵本」とホスピスの組み合わせです。
一見、子どものためのものと思われがちな絵本。
でも、大人になってから読み返すことで、忘れていた気持ちを思い出したり、新しい視点に気づかされたりすることがあります。
そんな絵本には、がん末期などで余命が限られた方の心にも、やさしく寄り添ってくれる力があります。
このページでは、ホスピスケアにおける絵本の役割と、そのあたたかさについてご紹介します。
がんで体が衰えても、絵本ならご自身で読める
ホスピスで過ごす中、思うように身体が動かず、何かを「する」ことが難しくなる方もいらっしゃいます。
そんなときでも、絵本は力を抜いて楽しめます。
大きな絵と少ない文字、短いストーリー。
ほっこりする絵や、くすっと笑えるお話は、気持ちが沈みがちなときにも手に取りやすいです。
「自分の手でめくる」「自分の目で絵を感じる」——
そんな何気ない体験が、「まだできることがある」という自信や喜びにつながります。
そのときの気持ちに寄り添う、たくさんの物語
「今日は少しさみしいな」「なんとなく胸がざわつくな」——そんな日もありますよね。
絵本の中には、そんな気持ちにそっと寄り添ってくれる物語があります。
大切な人との思い出を包みこむようなお話や、命のつながりを描いたもの、不思議な世界に連れていってくれるものまで、心の状態にぴったり合う1冊に出会えるはずです。
夜にページを開けば、夢の世界への入り口のように感じられ、少しだけ明日が楽しみになるかもしれません。
朗読を通して、人と人がつながる時間に
もし読むことが難しいときは、スタッフやボランティアがそっと朗読できます。
朗読の時間は、ただ言葉を届けるだけではありません。
声のぬくもり、ページをめくる音、静かな空気の共有。
それらすべてが、「誰かがここにいる」というあたたかさにつながります。
また、絵本をきっかけに、ふと昔の記憶がよみがえり、自然と会話が始まることもあります。
子どもたちと一緒に絵本を読む、地域にひらかれたホスピスへ
ホスピスでの絵本の朗読会に、地域の子どもたちにも参加してもらうことで
子どもたちの素直な声や笑顔は、ホスピスの空気をやわらかくしてくれます。
利用者さんは、子どもたちとのふれあいを通じて「つながっている」ことを実感し、
子どもたちもまた、命の大切さや「お別れは特別なことではない」ということを自然に感じていきます。
絵本を通じて、ホスピスは地域にひらかれた、あたたかな居場所になっています。
死の怖さを、絵本の世界がやわらげてくれる
私たちは、死を「こわい」と思ってしまいがちです。
それは「生と死」「善と悪」など、すべてをはっきり分けようとするからかもしれません。
でも、絵本の世界には、はっきりとした境界がなく、やさしくすべてを包み込むような物語があります。
まるで「死は終わりじゃなくて、物語のつづきかもしれない」と感じられるような、そんなやわらかな世界。
絵本は、人生の最期にふれる私たちに、そっと安心を届けてくれる存在なのです。