暗い夜の森を、癒しの森にするために
癌の治療が難しいことがわかったら、癒しのランプを用意していきましょう。
治療だけを頑張って、もし病状が進んでしまった場合は、穏やかな最後を迎えることが難しくなるかもしれません。
そうならないように、癒しのランプを用意しておきましょう。治療を続けながらでも行えます。
(1)治療が難しいと知ったとき
1 ショックから立ち直る
2 体の苦痛を不安を減らす
(2)病状が進行する頃
3 後悔のない人生
4 別れの悲しみを癒す
(3)体が動かなくなる頃・(4)寝たきりとなる頃
5 傷ついた自尊心を癒す
6 寂しさを癒す
7 死の恐怖を癒す
(1)治療が難しいと知ったとき
1 ショックから立ち直る
癌の治療が難しいと知ったときは、ショックを受けます。
その事実を受け止めるのは、簡単なことではありません。
ここでは、ショックから立ち直るための気持ちの整理の方法を紹介します。
① 放心する
無理に冷静になろうと思わず、放心した方が良いです。
公園やカフェでぼーっとするのも、良いです。
放心することで、気持ちを整理できます。
② 散歩する
部屋で一人でいると、気持ちが暗くなる一方で、気持ちの整理が進まないことがあります。
その時は、近所や公園など外を散歩しましょう。歩くことで、気持ちの整理が行いやすくなります。
③ 相談する
人にもよりますが、誰かに話をすることで気持ちが軽くなります。
周りに、こういったことを話する人がいない場合は、ホスピスケアで医療や介護職の方に話を聞いてもらう方法もあります。
(2)病状が進行する頃
2 体の苦痛を不安を減らす
①体のケア
ただ、治療を頑張ったことが、結果的に副作用や苦痛を増やしてしまうこともあります。
②気持ちのケア
【幸せホルモン】
(ア)セロトニン:日光浴や散歩で増えます。不安を和らげる効果があります。
(イ)オキシトシン:人やペットとのふれあいで増えます。安心感を得る効果があります。
(ウ)エンドルフィン:気持ちの良いことや楽しいことをすることで増えます。幸せな気分になるだけでなく、痛みを和らげてくれる効果があります。
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3 後悔のない人生
体が動くうちに、行っておきたいことがあります。それは後悔のない人生にすることです。
病状が進んで体が動かなくなってからだと行えないこともあります
①思い出の品、持ち物の整理
持ち物の整理を行いましょう。押し入れや引き出しの奥の持ち物も引っ張り出しましょう。
そして、4つのカテゴリーに整理してみましょう。
(ア)思い出のもの:出会えたことに感謝できるもの。
(イ)好きなもの:自分らしさを再確認できるもの。病状が進んだ時、ベッド周りに置いておきたいものです。
(ウ)いらないもの:もう必要ないもの。捨てるか、誰かに譲ったりしましょう。
(エ)誰かに譲れるもの:大切であっても、誰かの役に立つものは譲ることで、気持ちの整理に繋がります。
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②行きたい場所に行っておく
生まれた場所、青春時代を過ごした場所、行ってみたかった場所があれば、行っておきましょう。
③会っておきたい人に会う
会いたいという気持ちがあれば、会っておきましょう。
何かの理由で疎遠となっていても、会っておきたいと思えば、このタイミングで会ってみましょう。
〇一人で難しい場合は、手伝ってもらう
病状が進むと行えない場合もあるので、早めに行えると良いです。
一人で行っていくことが難しい場合は、ホスピスケアでサポートできます。
4 別れの悲しみを癒す
①会っておく:一緒にいる時間を大切にしましょう。
②気持ちを伝える:直接伝えるのが恥ずかしいと感じるなら、メッセージを残すのも良い方法です。
③困らないようにする:残った人やペットが生活するのに困らないようにしておきましょう。
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(3)体が動かなくなる頃・(4)寝たきりとなる頃
この頃は、体が思うように動かなくなることで、かなり異なった生活になります。
5 傷ついた自尊心を癒す
トイレに間に合わない、体力が衰えていることでショックを受ける方も多いです。今まで一人で、できたことができないことで、愕然とする方もいます。
そして、介護や看護を受けることを、恥ずかしい、情けないと思う方もいます。
でも、介護を受けることは悪いことばかりではありません。介護や看護を行ってくれる人の優しさに触れられる大切な機会です。
それまで一人で頑張ってきた人、人との交流を避けてきた人も、癌が進んでくると、人恋しくなる場合があります。
それは、人間本来の気持ちに素直になれた証拠でもあります。
介護や看護との温かい交流を通じて、自分が大切にされていると感じることができれば、心の癒しにつながります。
そして、ただ介護や看護を受けるのではなく、介護や看護を受けるときに感謝の気持ちを持つことは、あなたの気持ちにも良い影響があるはずです。
6 寂しさを癒す
昼夜逆転となり、夜の時間に眠れないという方もいます。
〇傍にいる。雑談や話し相手になる。
〇フットケアを受ける。ただ傍にいるだけだと気まずい場合にお勧めです。この頃は、足がむくんでいる場合もあるのでマッサージを受けることむくみの改善になります。また、人にさすってもらうだけでも安心感が強くなります。 〇ホスピス犬にいてもらう。人だと気を使う方で犬が好きな方にはお勧めです。 |
7 死の恐怖を癒す
宗教を信じる人が少ない日本人は、死後がわからないという不安や、「無」になる恐怖を抱くことは珍しくありません。
恐怖が強すぎると、死恐怖症(タナトフォビア)や無限恐怖症となってしまいます。
普段は意識していなくても、癌が治らない現実を知ってから、恐怖を抱く方もいます。
この恐怖感を癒す方法を、いくつか紹介します。
死の恐怖で気持ちを暗くせず、最後まで穏やかに過ごしたいものですね。
① 不安や恐怖そのものを減らす
〇人やペットとふれあえ、感謝の気持ちを持てること
〇誰かの役に立つことをすること
〇人工物や文字が多い環境より、自然や芸術などに触れる環境にいること
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人間の目や耳では感知できないことが多いことも科学ではわかっています。
④ 哲学を知る
宗教や科学ではわからない、この世のことを考えている学問が哲学です。様々な先人たちが、この世のことを宗教や科学とは異なった視点で、解明しています。
哲学的に言えば、私たちとこの世界は一緒であり、そもそも私は死んでも無にならないということだと思われます。過去の偉人たち(頭の良い人たち)が、死ぬことを怖がっていないことを考えれば、そういうものなのかもしれません。
⑤ 座禅やめい想する
静かに呼吸に意識を向けることで、気持ちが落ち着いていきます。座っているのが難しい場合は、寝ながらでもできます。
めい想は、死ぬことの練習という言葉もあります。
めい想することで、死んだ後って、こんなものかと思えるかもしれません。
5分から10分程度行っていくだけでも、気持ちが落ち着きます。
⑥ 手放す・与える
死にたくないという気持ちが生じる原因として、執着心が強い場合があります。
この場合は、色々なコトやモノを手放すことです。
優しい気持ちで、人に与える・捨ててしまうなど、自分の所有するコトやモノを手放すことで、執着心を減らせます。
今、自分が所有しているコトやモノは、元々は誰かから与えられたものです。
元々は、自分は何も所有していなかったことに気づけます。
その時に、改めて「思いやり」や「つながり」を感じることもできます。
(5)最後の1ページを閉じる頃
以上の癒しのランプです。多く用意しておくことで、穏やかな最後を迎えることができます。
一人で用意するのが難しい場合は、ホスピスケアをご利用ください。
心を込めて、サポートさせていただきます。